2024年における行方不明者の状況が警察庁から発表されました。
2024年の行方不明者数は全国で82,563人で、前年の90,144人より7,581人の減少となりました。年齢別に見ると、10代・20代で約4割を占めています。
認知症の行方不明者数は、依然として高い水準で推移
一方で、70代が9,790人、80歳以上は14,490人と、高齢者の行方不明者も大きな割合を占めています。
また、認知症が原因とみられる行方不明者は18,121人で、全体の21.9%を占める結果となりました。過去最高を記録した2023年よりは918人の減少となりましたが、依然として高い水準で推移しています。
多くが3日目までに生存で確認
2024年の認知症の行方不明者で警察に行方不明届が提出された方のうち、16,942人が生きて所在が確認されています。届出受理から所在確認までの期間を見てみると、受理当日が12,476人と最も多く、次いで2~3日が4,156人で、多くの方が3日以内に所在が確認されたことが分かります。
死亡者の77.8%は5km圏内で発見
一方で、亡くなった方もいらっしゃいます。2024年に受理した認知症に係る行方不明者のうち、死亡者は491人でした。その77.8%にあたる382人が、行方不明となった場所から5km圏内で死亡が確認されています。
死亡確認場所は、河川・河川敷が115人、用水路・側溝が79人、山林が71人で、ここまでで全体の54.0%となります。これらの場所は捜索が困難で、発見の遅延が行方不明者の生命に大きく影響すると分析されています。
発見には、GPS機器やドローンも活躍
報告書では、最新の発見事例として、GPS機器等による位置情報の早期把握や、無人航空機(ドローン)による捜索が紹介されています。
まず、GPS機器等の活用事例として、以下の事例が紹介されています。
- 靴に取り付けたGPS機器の位置情報で、自宅から500m離れた山中で滑落している行方不明者を発見・保護
- 自転車に取り付けたGPSにより、自宅から28km離れた他県内で行方不明者を発見・保護
- 行方不明者が所持する紛失防止タグの位置情報により、電車移動で70km離れた駅周辺にいた行方不明者を発見・保護
GPS機器は行方不明者の現在地を正確に把握できることから、距離の長短を問わず、迅速で的確な発見・保護に有効といえます。
また、ドローンの活用事例としては、次の2例が紹介されています。
- 行方不明者からの遭難通報により山林内を捜索するも、人的捜索は困難。ドローンで上空からの捜索を行ったところ、5分後に藪をかき分けて山奥に進む行方不明者を発見・保護
- 「帰宅しない」との親族の届出により、人的捜索が困難な自宅付近の海岸付近をドローンで上空から捜索した結果、20分後、堤防沿いのテトラポット上で行方不明者を発見・保護
上空から捜索できるドローンは、河川や海、山林等の人的捜索が困難な場所で有効です。
認知症の行方不明者は、今後も大きな課題の一つです。地域や施設との連携に、これらテクノロジーを用いた早期発見体制の強化が重要となります。警察庁の発表資料は、以下のサイトでご覧いただけます。
[参考]
警察庁「令和6年における行方不明者届受理等の状況(2025年6月5日)」
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